HRM(人的資源管理)研究者の Oxford 滞在記(2020-2022)

1年目は配偶者同行で休業して渡英。2年目はサバティカルで渡英。日常的な出来事(とたぶん研究)の記録です。英語は練習のために書いているので,ミスが多々あります。ご了承ください。

DAY618 [渡英564日] 2021年12月10日(金):息子の結婚?,オンライン読書会,子供の出生率の規定要因

 息子が帰宅後,指輪(下記写真)をはめて帰ってきた。聞くと仲の良いお友達(女の子)からもらったという。わりとしっかりした作りなので,女の子の親が指輪をなくして心配しているかもしれないと思い,妻が女の子のお母さんにwhats app(ラインみたいなもの)で連絡したところ,お母さんから返信があり

「うちの娘に聞いたら「私たちは結婚したの!」」と返ってきたらしい。お互いの親とも楽しいわね,ということで暖かく見守ることで静観。

 それにしても5歳にして結婚か…。君たちちょっと早すぎるよね。

 

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お友達がくれた指輪。結構,しっかりした作り

 今日は,12:00-15:00までオンライン読書会で今回が最終回。知覚されたHRM(perceived HRM),POS,心理的契約の概念の異同の議論や測定概念,HRMと外部環境との関わりなど面白かった。私の理解では,POSと心理的契約は「私」と企業の関係性について社会交換関係理論に基づいているのに対して,PHRMは必ずしも「私」が制度の恩恵を受けているとは限らない。(例:「私の会社では優秀な社員を選抜している」)

 

 あと,寝る前に読んでいる
小川 進(2021)『世界標準研究を発信した日本人経営学者たち: 日本経営学革新史1976-2000年』白桃書房. 
がメチャクチャ面白い。お会いしたことのある先生やコメントをいただいたことのある先生方ということもあるが,知的興奮が刺激されて逆に眠れない…。ベットで読むべき本を(いい意味で)間違えた。

p.49 「田村さんは『1つのテーマで論文は3本書けるのだ』と言っていました。
 そのテーマの代表的な論文を集めてきて一番最近の論文を見たらどんな文献が出ているか全部わかるから,それを全部読んで展望論文を書く。その次はフレームワークを作って実証する。文献展望で1本,理論フレームワークで1本,実証結果で1本書く。こういう研究をしなければいけない。それが研究なのだということを田村さんは教えてくれました」

 「何度も合宿をしたとか」,「どこどこからお金を出してもらった」とか熱量と時代を感じる一方で,共働き時代を前提として研究・教育以外の割合もそれなりにしないといけないことを考えると難しいとも感じる。よく研究者が40代後半から50代になって代表的著作が生まれると聞くが,それは子供が中高生になって少し手離れをして研究に時間が出来たからだとも思う。

 

 周りを観ていると子供が2人以上いる家庭が多く,3人,4人もよく見かける。少子化や出生率が下がっているのはなぜか,お金と時間に余裕があれば分析をしてみたい。ちなみに1人目の子供の有無(もしくは生みたいという意向),2人目の有無(もしくは生みたいという意向)はすでに労働経済学を中心に分析がなされており,それなりの研究蓄積がある。
 ただ,英国ではオーボア(ワーキングホリデーの外国人に部屋を提供する代わりにベビーシッターを頼む)や大学生によるベビーシッターがかなり手軽に利用できることもあり,社会全体として支える仕組みが異なるように思える。もしCOVID-19で都市集中がなくなれば,住環境が広くなり,オーボアのように子供の面倒を見る環境が増えるかもしれない。
 あとはキャリアの断絶(無職の期間があること)を良しとする風潮か,子育てで制約された働き方をしている人が存在することを当然視したり,彼ら・彼女らのキャリアに不利益にならないようになると出生率は改善するかもしれない(あくまで個人的感想です)。

 

追記

 息子の学校でパントマイムがCOVID-19で中止になり,year-6でアウトブレイクが発生したとの連絡を受けて簡易テスト(lateral test イムノクロマトグラフィー法)を取り寄せ,さらに海外旅行に必要なワクチンパスポートの申請を行う。帰国時に携帯が必要である一方,申請に時間がかかる場合があるということで試行錯誤しつつ申請。