HRM(人的資源管理)研究者の Oxford 滞在記(2020-2022)

1年目は配偶者同行で休業して渡英。2年目はサバティカルで渡英。日常的な出来事(とたぶん研究)の記録です。英語は練習のために書いているので,ミスが多々あります。ご了承ください。

DAY531 [渡英477日] 2021年9月13日(月):質問紙調査の見積もりが届く,別件調査のチェック

 インターネット調査会社から質問紙調査の見積もりが届く。これ自体は問題ないが,この後の手続きが不便極まりない。大学の研究予算(今回は外部から獲得した資金)を用いて何か物品購入を行う場合,50万円を超えると競争入札になるか,経理関係者の委員会を開き,競争入札ではなく,特定の業者に依頼することの「申し開き」をしなければならない。恐らく,(私の所属する大学ではないと思うが)キックバック問題に対応したルールだと思う。特に設備費用が大きい理系では,特定の業者と癒着をして資金を業者側にプールして旅費や人件費に充てるということが行われていた(と倫理研修の資料にあった)。
 それと同じルールをインターネット調査にも当てはめられると面倒。担当者の話では,複数の調査を行った場合,期間が短いと同一調査と見做されるということもあり,全ての調査を一括して見積を出している。その結果,競争入札の可能性が出てくるが,物理的な製品を競争入札で買い叩くのと違い,インターネット調査は,一般的に抱えているモニターにインセンティブを与えて展開する調査である。そのため,競争入札の結果,金額の安いインターネット調査会社に頼んでも,安いインセンティブを支払い,結果として質の悪いデータしか返ってこなかったら,その保証は誰が行ってくれるのであろうか??インターネット調査会社?それとも経理が費用を出してくれるのだろうか?自己責任で構わないので自分で探したインターネット調査会社を使用させて欲しい。
 
 午後は別件の調査のチェック。ポーターの一般戦略の尺度ってよく考えると,どんなものが使用されているのだろうかと気になった。どうもDess, G. G., & Davis, P. S. (1984). Porter's (1980) generic strategies as determinants of strategic group membership and organizational performance. Academy of Management Journal, 27(3), 467-488.が多くの論文が元になっている模様。

Amoako-Gyampah, K., & Acquaah, M. (2008). Manufacturing strategy, competitive strategy and firm performance: An empirical study in a developing economy environment. International journal of production economics, 111(2), 575-592.
 この論文では,14項目が使用されているものの上手くローディングしなかった4項目を除外して10項目をコストリーダーシップ戦略と差別化戦略で使用しているが,この論文の尺度でよいのだろうか。